- 混声合唱/オリジナル
「馥郁たる火を」より
新実徳英：「黙礼スル 第2番」A.E.43 混声合唱とピアノのための
JPY: 1,600 yen
- 数量：
- 編・著者名
- 作曲:新実徳英 作詩:和合亮一
- 判型／頁
- A4判／48頁
- JAN
- 4962864913772
- ISBN
- 978-4-7609-1377-0
- 演奏時間
- 21分
- 編成
- Ｐ混４
- 発売日
- 2016.02.01
Tokyo Cantat 2015委嘱作品。このシリーズも今年で第20回目を迎えた。同年5月3日のコンサート「やまとうたの血脈VI」～未来へ～にて初演された。第1番と同じく、和合亮一の詩による震災への強い思いを表現した作品。第1番、第2番の全曲を演奏する場合は、第1番のIIIを抜かして演奏する。
| ＜まえがき＞ 2011年3月11日、この戦後未曾有の震災による大惨事、これを作品の形で残しておかねばならないと私は思った。 震災直後、TV を見ながら悲しみと怒りの中で＜弦楽四重奏曲第2番－ Asura＞（2011年3月完。A.E.1）を書き上げたが、器楽には“抽象”による力があるが、言葉によるメッセージが伝えられないもどかしさがある。（震災後の作品にA.E.番号を付すこととした。After the Earthquakeである。自らの内で震災が風化するのを許さないためである。） この曲の完成後、和合亮一さんの「詩の礫（つぶて）」のことを知り、これをテキストに全12曲の＜つぶてソング＞を作曲し、YouTube で発表した。一刻も早く東日本へエールを送りたかったのだ。 その後テキストのあるものとしては、合唱曲＜ふと口ずさむ＞（女声合唱 音楽之友社）、＜決意＞（男声・混声合唱 カワイ出版）、そしてこの＜黙礼スル 第1番、第2番＞（いずれも混声）を発表することとなった（全て和合亮一テキスト、そしてピアノ付きである）。 これらは和合さんからの強烈なメッセージを伝えようとしたものであるが、音楽は佳きもの・美しきものであらねばならず、このこととメッセージ性との間で少なからぬ努力が必要であった。 さて、＜黙礼スル＞の経緯（いきさつ）を記すと、2014 年春に田中信昭先生より〔合唱連盟 虹の会〕の混声合唱曲の委嘱を、そのしばらく後に〔東京カンタート〕よりやはり混声合唱曲の委嘱をいただいた。当初はそれぞれに漠然と新作のことを考えていたが、和合さんの『詩ノ黙礼』を手にした時、「黙礼をテーマに、連作を作曲しよう」と心が決まった。 ＜第1番＞の「I. 畏れる」のテキストは「濁流に呑まれ行く“私”を書いて下さい」とお願いして書き下ろしてもらった「黒い波」、「無題」が中心となっている。「II. 祈る」は『詩ノ黙礼』よりとった。 ＜第2番＞の「I. 闇夜、II. 決意の火」は「馥郁たる火を」のそれぞれ前半部と後半部を、そして「III. 青空に」は『詩ノ黙礼』より＜第1番＞の「II. 祈る」の最後の詩句と重なるように選んだ。 そして＜黙礼スル＞全体は次のような内容の5部構成となった。 ＜第1番＞第1部：呑まれ行く私と死 I. 畏れる 第2部：憤りと死者たちへの鎮魂 II. 祈る ＜第2番＞第3部：私（原子力）の死 I. 闇夜 第4部：私たちにさずかる心の火 II. 決意の火 第5部：安らかなる祈り III. 青空に 全5部は45分前後の、いわば合唱とピアノのための「大きな交声曲」となったのである。 このたびの出版に際し、＜第1番＞のIII.として＜第2番＞のIII.と同じものを加えることにした。その理由は＜第1番＞のみを演奏して下さる場合にも、前記の第5部「安らかな祈り」を歌っていただけたらと願ったからである。 ＜第1番＞・＜第2番＞、いずれも長編詩が素材であり、それ故、和合さんの許可をいただいてエディットすることとなった。自分自身の音楽プランを突き合わせながらエディットし、そして作曲を進めていく作業は思いのほか苦しいものとなった。内容の重さの作用もあったろう。 それぞれの初演は＜第2番＞が2015年5月、＜第1番＞が同年6月で曲のナンバリングは逆の順となった。 新実徳英 |
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